『QCサークル』誌
発行 60 周年によせて
一般財団法人日本科学技術連盟 理事長
QC サークル本部長 佐々木 眞一
『QC サークル』誌が発行 60 周年を迎えました。多くのサークルに読み続けられ、小集団改善活動のレベル向上に多大な貢献をしてこられたことは衆目の一致する所であります。
記事の企画や取材、編集にあたられた多くの先輩委員の方々のご努力に感謝申し上げます。
私事になりますが、1970 年にトヨタ自動車工業㈱(現トヨタ自動車㈱)に入社して職場配属での最初の仕事が QC サークルのアドバイザーでした。大学ではエンジンの排気ガスの浄化の研究をしていた新入社員が、導入教育の QC 基礎教育を受けただけで QC サークルのアドバイザーをと言われ、付け焼き刃で QC サークルの参考書を漁って勉強をした思い出があります。
当時のトヨタ自動車工業㈱は日本品質管理賞(現在のデミング賞大賞)を受賞した直後で生産現場の作業者の詰所に行くと、工程管理の数々のグラフとともに必ず『QC サークル』誌が置いてありました。それを片っ端から読んでサークルの進め方や QC 七つ道具の活用事例などを学び、知ったかぶりでアドバイザーの役目をこなしていたことは今思うと冷や汗ものです。しかしアドバイザーを務めたサークルの一つが職場代表に選ばれる幸運(?)にも恵まれ、以来今日まで 50 年にわたり、いろいろな立場で QC サークルの発展のお手伝いをしてきました。
経営環境の変化に対応しつつ発展続けた日本産業を支えてきた QC サークルもまた時代に合わせた活動の工夫を重ね進化を続けてきました。先進的なサークルの活動成果を共有することは、QC ークル全体のレベルアップに欠くことができません。『QC サークル』誌はこれまでの 60 年間にわたりその役割を果たしてきました。産業構造の大変革期といわれる今日その役割の重要性は今後ますます大きくなるものと思います。
SDGs、DX など新たな社会の要請や技術の進化は決して他人事ではなく身近な職場の課題として取り組む日がきます。新たな課題解決への知恵と工夫が発揮された QC サークル活動の紹介記事が掲載された『QC サークル』誌が読者の皆様のチャレンジのお手伝いできるものと信じております。