トレンドナレッジ

心をつなぐ「ストレスマネジメント」

緊急コラム

新型コロナウィルスの影響でストレスを感じている人に届けたいストレスマネジメントの専門家の声をお届けします。
簡単にできるストレス対処法で元気に未来をつくるストレスの基礎知識と、ストレス緩和ホルモンの出し方についてお伝えします。

新型コロナウィルスの影響からくる心理的ストレスを軽減するための基礎知識とストレス対策の救世主的なホルモン、オキシトシンについてのコラムです。

①まずストレスの原因を知る

自分が感じているストレスは何がありますか?

□ コロナにかかったらどうしようという不安
□ このまま仕事が減少したらどうしようという不安
□ 在宅勤務によるストレス
□ 子どもが休校による子供と親のストレス
□ 家族にコロナ感染者が出てしまった後の、自分自身と周囲に対しての不安   など

②次に出来ていることを探す

コロナ予防で心掛けていることやストレス発散などの工夫を探してください

工夫1: コロナの悪化は自身の免疫力の高さに影響するので食事、睡眠、運動に心がけている

工夫2: 家族や友人とネットや電話を使って会話する

工夫3: 部屋の片づけや手つかずの仕事の整理など集中できることに時間を費やす

③ストレスの反応を知る

 ●イライラして集中しない
 ●不安で睡眠がうまくとれない
 ●アレルギー反応などが強まる
 ●食欲がない        など

まず、ストレスマネジメントの基本は今の状態を知ることです。今自分が何に困り、どのような反応が出て、どんな工夫をしているか友人や家族と話してください。心の中の思いを吐き出すことがストレスケアの第一歩です。

その理由は、伝えたいことを言語や文章で伝えるためには、自分の心の中や頭の中を1度スキャンして整理します。このプロセスが脳や心の中で混沌としていたモヤモヤ感を楽にします。

※注※
伝える人がいない時は紙に書くだけでOKです。書くプロセスも同様、自分の心や頭の中をスキャンして整理します。このプロセスが脳や心の中で混とんとしていたモヤモヤ感を楽にします。

~強いストレスを感じた時の対処~

ショックと感じる事が起きてから、8時間以内に誰かに話してください。話す時はわかりやすく順序良く伝えようとせず、感じたままの心の声を語ってください。まず、気持ちの吐き出しを優先してください。

なぜ8時間以内かというと、寝る前までに話すということが大切なのです。
興奮状態で眠れないでしょうし、もし眠れてもショックな記憶が他のストレスと結びつき、大きなストレスとなる危険があるからです。

ストレスのメカニズムを知りましょう

ストレスの原因 × 受け止め方 = ストレス反応

ストレスの原因がたくさんあっても、自分の受け止め方が0-ゼロ-(ストレス原因があっても心身が落ち着いていられる状態)に近ければ反応は出ないという式になります。

ストレス原因があっても、心身が穏やかな状態に近づくためにはコロナ対策で出来ていることを探して、自分はこれができていればストレス原因に対し、少し気が楽でいられるという気分になるための事を探してください。

【例えばこんなことです】

コロナにかかっていたらどうしよう

から考え方を切り替えて、、、

まず免疫力を高めればコロナはかかりずらいし、悪化しないだろう。健康管理を徹底しよう。

にしてみてください。

ストレスの反応が体や行動に出てしまうのをやわらげますよ。

◆ストレスの悪い受け止め方を緩和して楽にする「ホルモンオキシトシン」についてお伝えします。

 

オキシトシンは別名愛情ホルモンといいます。緊張を取り、信頼感や安心感を増すといわれる救世主的なホルモンです。あることをすると、自分の体で作り出せます。

ポイントは見つめ合うこと、肌のふれあいで高めること

ある実験結果からひもときますね。

2015年に米国のサイエンスという雑誌に麻布大学の研究チームが発表した実験をご紹介しましょう。

実験:犬と飼い主が語り合い、触れ合い、見つめ合いなど30分間行った。その後飼い主と犬のオキシトシン濃度を測定すると「双方の尿からのオキシトシン濃度が上昇した」事が判明。

この結果から、「見つめ合う・語り合う・触れ合う」事で心地よいと感じるオキシトシンの関係がクローズアップされました。
別の実験では、犬にオキシトシンを投与すると、犬と飼い主のアイコンタクトが増えたことが判明しました。犬がアイコンタクトを多くとることが意味することは信頼関係が高く、安心感が強い時とされ、オキシトシンというホルモンが愛情や信頼、安心に紐づかれたホルモンということがわかりました。

私は以下のような好循環サイクルが人の心に存在すると思います。

 

まとめ

人との物理的な距離を離さなければ自分を守れない昨今、目に見えない心の距離をアイコンタクトで縮めてください。対面での会話は仕事上で控えられていますので、仕事上ではweb画面を使ったアイコンタクトを試みてください。信頼する人、家族とのアイコンタクトはストレス反応をより少なくするホルモン、オキシトシンを出すパワーがあることを覚えておいてくださいね。
物理的に人との距離が離れると心の距離まで遠くなりがちです。コロナウィルスの影響下の対策として目を見つめ合うことでできる自分自身のストレスマネジメントを試してください。
一人ひとりがストレスをケアすることで、仕事も家族も仲間も元気になり、未来を創る大きな原動力になります。

ランスタッド株式会社 EAP総研所長 川西由美子

筆者プロフィール

ランスタッド株式会社 EAP総研所長 川西 由美子(かわにし ゆみこ)

フィンランドのLyhytterapiainstituuttiにてヨーロッパを中心に世界25か国に広まりを見せる組織活性化技法の指導者資格を取得。現在はオランダに本社のある世界最大級の人材会社ランスタッド株式会社のEAP総研所長として国家機関、地方自治体、企業、病院などで産業競争力を高める人材育成や組織改革の技法を広めている。臨床心理学、組織心理学が専門。著
書多数。ベトナムの情報通信省やインドネシアでも出版され、ベトナムの大学や企業、インドネシアの企業でも教育活動を行っている。

 

現在、病院臨床としてはストレスドックの心理カウンセリングも行っている(1998年~現在に至る)。
2012年~2015年には東日本大震災後の福島県南相馬市民のメンタルヘルスケアに従事(厚生労働省の委託事業として)

著書

「チームを改善したいリーダー・推進者のための心の好循環サイクル 仲間を支え個を活かす力」
(日科技連出版社・著書、ベトナム社会主義共和国 情報通信省 情報通信出版局・編訳出版)
「Reteaming:12 STEPS TO A HAPPY WORKPLACE」              (インドネシアGramedia社・出版協力)
「職場のメンタルヘルス対策の実務」(民事法研究会・編・著)
「強いチームをつくる技術」(ダイヤモンド社・出版協力)
「ココロを癒せば会社は伸びる」(ダイヤモンド社・著書)
「ココロノマド」(朝日新聞社・著書)             他、多数