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『QCサークル』誌、こうして活用しています! 第2回 株式会社SMSデータテック
このコーナーでは、『QCサークル』誌を多部数ご購入いただいている企業・組織の推進者のみなさまにインタビューして、『QCサークル』誌の効果的な活用方法や勉強方法などを紹介していただきます。みなさまの『QCサークル』誌活用のヒントにしていただければと思います。
第2回目は、株式会社SMSデータテック 経営企画部 品質保証室室長の長尾 長武様にお話を伺いました。
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・御社は2001年設立の比較的新しい会社ですが、QCサークル活動を導入されたのは、いつ頃でしょうか。
2006年から職場の小集団活動として、QCサークル活動を開始しました。
・御社はシステム開発など、IT関連の仕事をされていますが、メーカーの製造部門などと異なり、QCサークル活動が馴染みにくい業種ではないかと思います。どのような目的、ねらいから、活動を導入するようになったのでしょうか。
弊社は、システム開発業務やIT運用管理業務を行っており、システム開発業務では検証用ツールの作成、IT運用管理業務では運用の問い合せ時間の短縮といった業務の改善を行っていました。このノウハウを社内で水平展開して活用することによって、お客様に喜ばれ、社員のスキルアップにつなげていくことを目的として、QCサークル活動を始めました。
・約6年前から新規でご購読いただくようになり、2年目からは購読部数を追加していただきました。以降、現在も多部数ご講読いただいております。その動機、目的は何だったのでしょうか。
弊社では、「お客様と社会に貢献し、社員が幸せになる、永続する会社になる」という創業理念を実現するために、総合的品質管理(TQM:Total Quality Management)を導入しています。その一環としてQCサークル活動を導入したわけですが、弊社は、お客様先でシステム開発業務およびIT運用管理業務に従事する社員が多くいるため、お客様先ごとにQCサークル活動を行っています。
従来から「QCサークルリーダー会」を月に1回、「業務改善プレゼン大会」を年に1回開催し、その活動の参考にするために『QCサークル』誌をPTA※単位で購入していました。しかし、一人のPTAが複数のサークルを見ているため、『QCサークル』誌を読むことができないサークルもありました。そこで、より活動に活かすことができればと、全サークルに1冊ずつ配付するために『QCサークル』誌の購読部数を増やしました。
経営企画部 品質保証室・長尾室長
・レベルアップのためのツール、活性化のためのツール、自己啓発のためのツールなど、様々な目的が考えられますが、御社のQCサークル活動における本誌の位置づけをお聞かせください。
個々の活動のレベルアップや活性化はもちろんですが、多種多様な業種の改善事例や体験事例を参考に、自分たちのQCサークル活動に役立てています。
また、「QCサークルリーダー会」において、勉強コンテンツとして紹介させていただいています。 QCサークル会合の中で、『QCサークル』誌の記事に対して、メンバー全員で気になる点などを出し合って話し合う機会を設けているサークルもあり、いろいろと活用しています。
・御社では、雑誌がお手元に届いた後、どのような形で配付されていますか。たとえば、課単位やサークル単位など、配付先を教えてください。
弊社では、QC事務局が主催する、毎月1回の「QCサークルリーダー会」の集合型の会合時に、各QCサークルリーダーに『QCサークル』誌を1冊ずつ配付しています。当日やむを得ず出席ができなかったQCサークルリーダーに対しては、所属部門の上長を通じて配付しています。
また、『QCサークル』誌の「QCサークル講座終了証」にチャレンジしているサークルに対しては、メンバー1人1冊単位で『QCサークル』誌を配付しています。
ただ、昨今のコロナ禍においては、集合型での会合が難しい状況となっているため、オンライン型での「QCサークルリーダー会」に切り替えて開催しています。『QCサークル』誌に掲載されている記事の一部をQC事務局が紹介し、『QCサークル』誌の配付については、所属部門の上長を通じての配付としています。
・約6年前から、社員の方に本誌を読む機会を与えていただいたわけですが、その結果、サークル、そして個人の成長など、何らかの変化、効果はありましたか。
先にお話ししましたが、弊社は、お客様先でシステム開発業務およびIT運用管理業務に従事する社員が多くおり、お客様先ごとにQCサークル活動を行っています。そのため、集合型のQC関連の研修や情報交換がなかなか取れません。
そのような中で、『QCサークル』誌は、QC手法の基礎や活動の進め方、他社の取組み事例など、個人で読んで理解を深めることができるため、QCサークルや社員の糧となっているようです。
また、『QCサークル』誌を輪読しているサークルの中には、会合時の意見交換が活発化してきたという例もあります。
・具体的にサークルにどのような変化・効果がありましたか。
お客様の感動、(魅力的)品質を意識している改善事例など、年単位で改善レベルが向上してきています。
また、IT運用管理業務では長期的に配属されているのでチーム編成が大きく変わることは少ないのですが、システム開発業務では、開発期間が短く、お客様や業務内容も半年から1年で変わるため、それに合わせてチームも編成し直しています。
そのため、QCサークル活動経験の浅いメンバーだけでチームが作られることもありますが、『QCサークル』誌を活用することで、サークルの立ち上げがスムーズにいっています。
QCサークルの会合が活発化することによって、社員一人ひとりが自主的に意見を表明できるようになっていると感じます。
・サークルリーダー、メンバーの方々の、本誌に対する評価はいかがでしょうか。特に活用、参考にしていただいている記事はどの記事でしょうか。
全社的な評価は、今年のQC事務局のテーマの一つにしているところです。
QCサークル活動の会合で『QCサークル』誌を使っているサークルからは、「特集記事」や「連載講座」などが勉強に役立つとの報告も受けています。そのほかにも、「サークルQ&A ただいま出動 QCサークル119番」、「体験事例」、「ワンポイント事例」などを参考にしているようです。
QC事務局では、「運営・推進のページ」も参考にさせていただいています。
・本誌をより有効に活用してもらうために、事務局として何らかのしかけをしていますか。
月1回開催の「QCサークルリーダー会」で、「今月号のここを読んでください」といったアナウンスを行い、活用の充実をはかっています。今後は、もう少し踏み込んだ形で活用の充実をはかっていこうと検討しています。
・サークルの方々は本誌をどのように活用されていますか。ユニークな活用の仕方をしているサークルがあれば紹介してください。
サークル内で回覧する活用が主となりますが、あるサークルでは、会合までに各自が、
今月号の記事の中から気になる記事と、なぜ気になったかをまとめておき、会合の中で発表し合うという活用の仕方をしています。QCサークル会合では、メンバー全員に必ず発言させるなど、モチベーションを維持するために創意工夫しています。
このサークルは、「QCサークルリーダー会」において、説明してもらいました。
・事務局が主体となって、本誌を用いた勉強会のようなものを行っていますか。
これまでは月1回の「QCサークルリーダー会」を集合形式で開催し、
『QCサークル』誌の内容を投影するなどして、勉強用資料としても活用していました。
現在のコロナ禍においては、集合形式が難しいためにオンラインでの開催に切り替えており、オンライン環境での『QCサークル』誌の効果的な利活用について検討しているところです。
・本誌に対するご要望、取り上げて欲しいテーマ、期待することなどがありましたら、お聞かせください。今後の紙面づくりの参考とさせていただきます。
オンライン研修での『QCサークル』誌の活用にあたっては、著作権の問題から、『QCサークル』誌の記事をパワーポイントなどに貼りつけるわけにはいかないので、その活用の仕方が集合研修時より難しくなっています。
たとえば、『QCサークル』誌を特定部数以上購入している企業に対しては、電子版でのライセンス契約を結び、社内ポータルに限定して使用できるような形態にしていだたけるとありがたいです。
・導入が難しい業種ににもかかわらず、先ほどお聞かせいただいた目的で活動を導入されたわけですが、導入して良かった点、あるいは苦労している点などありましたら、お聞かせください。
良かった点は、自分たちのQCサークル活動をお客様に評価していただき、喜んでいただいていることです。そして、自分たちだけでなく、お客様と一緒に改善を進めたサークルもあります。こういう形で改善していきたいとお客様に話し、了承していただいてから活動を進めました。
苦労している点は、先にもお話ししましたが、システム開発業務は開発期間が短く、お客様や業務内容も半年から1年で変わります。それに合わせてサークルも編成し直すという特徴があり、QCサークル活動経験の浅いメンバーだけでチームが作られることもあります。活動は継続していても、サークルとしては再度立ち上げし直すところに苦労しています。この場合は、PTAがサポートに入って活動がスムーズに進むようなアドバイスをしてもらっています。
・毎年12月に「業務改善プレゼン大会」を開催されているそうですが、活動を導入されて15年、具体的な改善効果など、レベルアップを実感されているでしょうか。また、どのようなテーマが多いのでしょうか。特徴的なテーマなどあれば、お聞かせください。
改善効果、レベルアップを感じるのは、お客様と一緒に改善を進めているサークルが増えてきたことです。結果としてQCサークル活動をお客様に評価してもらえています。
弊社は、お客様の業務の中での困りごとをITで解決するという、多様なソリューション(情報の収集・分析を行うサービス、最新IT技術で業務の自動化を支援するサービスなど)を提供しています。本年度の特徴的な改善テーマとしては、そのサービスを使っての「業務効率化」などです。また、例年は「作業時間短縮」、「問い合せ時間短縮」などがあります。
業務改善プレゼン大会(2019年)
コロナ禍の中、研修や会合だけでなく、業務そのものをオンラインで実施する企業も多くなってきています。このような状況下では、サークルメンバーが顔を合わせて行う活動はさらに難しくなると思います。QCサークル活動やQCサークル会合などもオンラインでできる環境をいち早く整備することで、リーダー間の交流を行うなど、QCサークル活動のさらなる活性化を期待しています。
最後に、弊社のQCサークル活動が活発な要因としては、やはり経営トップがQCサークル活動の重要性を認識し、そこに非常に力を入れている点が挙げられます。
そういう意味で、QC事務局としてもやりがいを感じます。
※PTA:世話人をPTAと呼ぶ。
(まとめ 日科技連出版社 戸羽節文)
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【株式会社SMSデータテック】
□所在地:東京都中央区湊3-5-10 VORT新富町3F・7F
□設 立:2001年6月27日
□資本金:3,250万円
□従業員:457名(2020年現在)
□事業内容:金融、流通、製造の各業界および公共関係の幅広い分野において、システムライフサイクル全般にわたる事業展開
□ホームページ:https://www.sms-datatech.co.jp/
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