『QCサークル』誌、こうして活用しています! 第4回 トヨタ紡織九州株式会社
このコーナーでは、『QCサークル』誌を多部数ご購入いただいている企業・組織の推進者のみなさまにインタビューして、『QCサークル』誌の効果的な活用方法や勉強方法などを紹介していただきます。みなさまの『QCサークル』誌活用のヒントにしていただければと思います。
第4回目は、トヨタ紡織九州株式会社 企画・監査部 TQM推進室 の田中慎一室長と植木宏和様にお話を伺いました。
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・およそ1年前より講読数を大きく増やしていただき、以降も継続いただいております。
大きく増部いただいた動機はなんだったのでしょうか。
2019年のTQM奨励賞の審査時に審査員の方から、『QCサークル』誌をQCサークル活動の活性化やQC検定取得に向けた学習図書として活用するとよいとのアドバイスをいただきました。
それまでは当社の2つの工場に各1冊、事務局に1冊の計3冊を購読していましたが、このアドバイスを受けて、世話人やアドバイザーもQCサークル活動の指導や教育のツールとして活用できるようにと、購読部数を増やしました。
企画・監査部TQM推進室長の田中様(右)と植木様(左)
・貴社は、その2019年に日本品質奨励賞TQM奨励賞を受賞されましたが、貴社のTQMにおけるQCサークル活動の位置づけ、その中での本誌の位置づけや期待する役割などをお聞かせください。
TQMのコア活動としては、方針管理、日常管理、改善活動などがありますが、そうした中で、QCサークル活動は小集団の改善活動として、事技部門(事務職、技術・品質)や期間社員、派遣社員も含め、安全・品質・作業改善・環境向上といった職場の諸問題や方針から、様々なテーマを掲げて活動しています。
『QCサークル』誌を通じて、他社の事例やユニークな取組み、支援者・事務局の取組みなどを参考にし、個人と組織のレベルアップにつながることを期待しています。
・現在、貴社では、雑誌がお手元に届いた後、どのような形で配付されていますか。
社内に配布する前に、まず事務局で内容を確認します。掲載されている記事の中から、参考になるものを“今月のポイント”として取り上げ、事前にメールで案内してから、各部長、世話人の方に配付しています。
事技部門に特化した内容なら事技部門に対して、また同じような工程の他社事例があれば、あそこの工程ではここが参考になるなど、簡単なコメントをつけたメールを事前に配信してから、雑誌を配付しています。
・より多くの社員の方に本誌を読む機会を与えていただくようになったわけですが、その結果、この1年間の間に、サークルに何らかの変化、効果がありましたか。
他社事例との比較や参考になる事例を多く見る機会ができ、QC手法の使い方や活動による改善効果も上がり、全体のレベル向上に繋がっています。
「QCサークルレベル把握表」のCゾーンのサークルがBゾーンにレベルアップするなど、『QCサークル』誌の活用がその一助になっていると感じています。
・実際に活動されているサークルリーダー、メンバーの方々の本誌に対する評価はいかがでしょうか。
各部署、サークルに配付されることで、「非常に参考になっています」とか、「活動を進めていく中で、他社の優秀事例など見てアイデアやヒントを得ることができるようになりました」というような声が届いています。
・特に活用、参考にしていただいている記事はどの記事でしょうか。
ここ最近では、各号の特集や運営・推進のページは“今月のポイント”として取り上げて、展開しています。
特に運営・推進のページの「ニューノーマル時代のQCサークル活動」のシリーズは、数々の工夫を凝らした他社の事例が事務局としても大変参考になっています。
また、連載講座「QC検定3級受検 傾向と対策~絶対合格するための12講~」は、社内勉強会において参考にしています。
・本誌をより有効に活用してもらうべく、事務局、あるいは上の立場の方から、何らかのしかけをされていますか。
各部署へ配付した後に、部署内ではどのように展開したか、どのように活用したか、QCサークル活動での困りごとはないか、といった項目を含めた「アンケート」を実施しています。そして、各部署、各サークルの活用情報を収集し、よい活用をしているところがあれば、月1回開催している「QCサークルアドバイザー会」で紹介しています。
・いろいろな活用の仕方があると思いますが、サークルの方々は本誌をどのように活用されていますか。また、ユニークな活用の仕方をしているサークルや部署があれば、ご紹介ください。
他社の事例と比較して参考にしたり、QC手法の学習に活用しているサークルがほとんどですが、中には経験の浅いメンバーが多いサークルでは、昨年の5月号で特集された「QCサークル活動の活性化の工夫あれこれ」の事例1(共通の目標を持ち、一体感の向上をはかりましょう)を参考にして、自分たちのサークルの“共通の目的”や“ありたい姿”についてみんなで意見交換を行なったというサークルがありました。
・事務局が主体となって、本誌を用いた勉強会などは行っていますか。
「QCサークルアドバイザー会」や、今年3月から始めたばかりですが、毎月発行の「TB九州 QCサークル News」において、“今月のポイント”の紹介や、QC検定試験前の勉強会などで活用しています。
・本誌に対するご要望、取り上げてほしいテーマ、期待することなどがありましたら、お聞かせください。
JHS(事務・販売・サービス)部門の改善事例を、今以上に取り上げていただきたいと思います。
弊社では、製造部門のサークルはこれまでも社外大会などで活躍していますが、JHS部門において社外大会に出場できるレベルまでレベルアップをはかりたいと思っています。他社のJHS部門の事例を参考に、活動の活性化にもつなげていきたいと思っています。
・最後になりますが、自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えていると言われています。そのような環境下において、TQM、そしてその一環としてのQCサークル活動に期待することをお聞かせいただきたいと思います。
TQM活動を通じて、企業体質をさらに強化し、“社員が安全安心に働ける”、“お客様につねによい製品を提供する”、“つねに利益を出し続ける”、“変動変化に柔軟に対応し効率的な生産をしている”、“つねに成長できる会社づくり”に取り組む必要があると思っています。
そのためには、社内のコミュニケーションを活性化させ、現場の声に応じた改善を目的に活動する必要があります。
その活動として、QCサークル活動を活用して、作業者目線で改善を行うことで、作業者自身が改善ポイントを探し、発信し、会社の継続的な発展に寄与していくことを期待しています。