『QCサークル』誌、こうして活用しています! 第5回 丸二倉庫株式会社
このコーナーでは、『QCサークル』誌を多部数ご購入いただいている企業・組織の推進者のみなさまにインタビューして、『QCサークル』誌の効果的な活用方法や勉強方法などを紹介していただきます。みなさまの『QCサークル』誌活用のヒントにしていただければと思います。
第5回目は、丸二倉庫株式会社 品質管理グループの安原雅樹部長と、前園朋代様にお話を伺いました。
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・以前より『QCサークル』誌をご購入いただき、2015年からは購入部数を増やしていただきましたが、購読の動機を教えてください。
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当社は1984年からQCサークル活動を始めましたが、当時は物流(サービス)業でQCサークル活動を実施している企業が少なく、書籍もほとんどが製造業中心に書かれていたため、当社ではどのようにQC活動を進めればよいのか、よくわかりませんでした。
そうした中で、物流(サービス)業の現場の従業員が親しみやすいものを教科書にしようと探していたところ、様々な業種のいろいろな活動事例が載っている『QCサークル』誌がありましたので、購読するようになりました。
途中、数年間、別の小集団改善活動の雑誌に切り替えた時期がありましたが、内容が少し難しかったということと、その雑誌が月刊から季刊に変わったことから、もう一度『QCサークル』誌を購読するようになりました。当社のQCサークルは月4~5回会合を開催していますので、毎月新しい情報を取り入れるのも購読の目的になっています。
・御社のサークル活動における本誌の位置づけをお聞かせください。
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スタート時はQCサークル活動を実施している企業が少なく、手探り状態の時代でしたので、勉強するツール・教科書としての位置づけでした。QC活動がわかってくると、他社がどのような問題をターゲットにし、どのように問題解決しているのかを参考にするといったレベルアップのためのツール(本)としての使い方に変わってきました。また、QCリーダー歴の浅い人の参考書としても活用しています。
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・御社では、雑誌がお手元に届いた後、どのような形で配付されていますか。
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『QCサークル』誌は、首都圏では28冊、近畿圏では27冊購読しています。QCサークルは現在92サークルほどあり、各営業所の所長へ送付し、各所長が中身を確認したうえで、サークルへ配付しています。年に1回、雑誌購読の更新時に、各所長に必要部数を確認してサークルの増減に応じて申し込んでいます。
また、配付するだけでは購読(活用)しているかどうかわかりませんので、事務局より毎月の『QCサークル』誌の内容からお題を出し、サークルごとに感想文を出してもらうようにしています。この感想文の用紙は『QCサークル』とともに、各所長からサークルに渡してもらっており、サークルが提出することでサークル活動評価項目の一つとしています。
感想を書いた後『QCサークル』誌は、サークル内で回覧して、回覧が終われば食堂や休憩室など、誰でも手に取って見ることができる場所に置いています。
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・増部により今まで以上に、従業員の方に本誌を読む機会を与えていただいたわけですが、その結果、何らかの変化、効果はありましたか。
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基本的に『QCサークル』誌は、サークル内で回覧して読むようにお願いしていますので、回覧のスパンが短かくなります。サークル(メンバー)は、雑誌が届いてから早い段階で雑誌に書いてある情報を得ることができるようになりました。
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・サークルリーダー、メンバーの方々の、本誌に対する評価はいかがでしょうか。
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各営業所の所長や、テクニカルサポーター(各営業所に配置した当社独自のQCリーダーのまとめ役、事務局と各営業所のパイプ役)に事前にアンケートを取りましたところ、いろいろな業種の改善を見ることができるため、違った視点からの改善が参考になる、サークル活動の流れがわかる、QC活動をするうえで大変役に立っている、という声が挙がりました。
また、当社はパートさんもQCサークル活動に参加していますが、内容もわかりやすく、図や解析もあり、読み手にやさしい、基本に忠実な『QCサークル』誌が良いという声もありました。ただ、やはり製造業の事例が多いため、サービス業の事例がもっと欲しいという声もありました。
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・本誌をより有効に活用してもらうべく、事務局として何らかのしかけをしていますか。
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先ほどもお答えしましたが、事務局から毎月の『QCサークル』誌の中から特に読んで欲しい項目をお題として出し、サークル毎に指定のフォームに感想文を書いて、提出してもらっています。
事務局も雑誌が届いた時点で中身を確認しており、たとえば、特集の9ページから22ページに大きな成果に結びつけた事例が掲載されていますが、「これを読んであなたは自分のサークルにどのように活かしますか」、というようなお題に対してサークルメンバーが感想文を書くというものです。
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・QCサークルの方々は本誌をどのように活用されていますか。
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QCサークル会合時、リーダーからメンバーに、事務局からお題として出されている特集について、みんながどう思うかと意見を聞いたりしています。『QCサークル』誌が回覧されても全てを読むことはなかなか難しいので、参考となる点をサークル内で共有し、活動に役立てています。
また、わかりやすい図やグラフ、他社のサークルの活動状況などを社内の発表大会時に使用する資料の参考にしています。事務職系のQC事例や改善事例は、当社では情報を得ることが難しいため、他社の事務系職場のテーマを参考にさせてもらったりしています。
それから、QCリーダー、テクニカルサポーターがサークルメンバーに対して、『QCサークル』誌を基にした勉強会を実施しています。
事前に寄せられたアンケートの中には、帰りの電車の中で『QCサークル』誌を読んでいる、持ち帰ってじっくり読んで勉強するというメンバーもいるようです。購入部数が多いので、“読みたい時に読む、使いたい時に使うといった活用の仕方”ができるんだと思います。
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・ユニークな活用の仕方をしているサークルや部署があれば、紹介してください。
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パワーポイントを作成する際の見本にしているという声がありました。
『QCサークル』誌は、食堂にも置いてありますが、パートさんの方々の中にはQCサークルのメンバーになっていない方もいますので、その方々も、いつでも誰でも読めるようにしています。
また、当社は結構来客が多く、置いてある『QCサークル』誌に興味を示されるお客様もおられます。
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・本誌に対するご要望、取り上げて欲しいテーマ、期待することなどがありましたら、お聞かせください。
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事前のアンケートにはたくさんの意見が寄せられています。以下に挙げますが、これだけの意見が出てくるということは、それだけ熱心に『QCサークル』誌を読んでくれているのだと感じました。
①事務所でのQC活動の内容を増やして欲しい
②当社と同じ業種(物流業)の会社が取り組んだテーマが掲載されてい
たら、自部所/サークルとも参考になる
③テ―マは物流。(入・出・返品)、物流業のサークル紹介特集が少な
く感じる
④名物サークルリーダーの紹介
⑤業種別でページを分けるか、業種別で1冊発行するなどを希望
⑥事務職に特化した内容
⑦課題達成型に特化した内容
⑧デジタルトランスフォーメーションに関する内容
⑨運送関係のQCサークル活動
⑩QC初心者にわかりやすい手法の説明
⑪パートタイマーのサークル活動の特集
⑫4S(整理整頓)の特集があれば活用しやすい
⑬店舗(ドラッグストアなど)の事例や取り組みがあれば掲載して欲し
い
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・御社は年間3,500件以上もの改善提案が現場より提出され、「QCサークル活動」の全国大会も開催されているそうですが、それについてお教えください。
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通常のQCサークル発表大会は各営業所において、年に1回開催しています。それとは別にその各営業所の発表大会において優秀事例を発表したサークルを3~4サークル集め、近畿圏・首都圏でQCサークル全国大会を3年に1回開催しています。
併せて優秀な提案事例紹介も実施していますので、提出された3,500件の提案の中から水平展開できそうな数事例を選んでブース展示しています。そのブースにおいて実物と実演を交えた発表会を開催し、参加者はグループに分かれてブースを回り、実際に操作したり、触ったり、質問しながら体験してもらいます。
また、ブース展示される改善提案の選出に当たっては、必ず役員にも目を通してもらっており、経営層もすごく熱心に取り組んでいます。それが私たち事務局の大きな励みにもなっています。何より会社として重要な体験型の集合研修としての位置づけとなっています。
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・最後になりますが、コロナ禍により社会・経済が混迷していますが、ウィズコロナ、アフターコロナ時代のサークル活動についてお聞かせください。
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各営業所のQCサークル発表大会は、少なくとも40~50人は集まるので、このコロナ禍において開催することはできませんが、発表大会の日程だけは決めました。発表の場はありませんが、期日までには各サークルはQCサークル活動を行い、発表資料まとめなければなりません。年2テーマ完結で、それを評価者に評価してもらい、年間表彰は実施するというしかけをしています。
今年度も、一堂に会してのQCサークル発表大会は実施していませんが、サークルの発表状況を1サークルずつビデオ撮影し、それを基に評価者がリモートで評価をするスタイルを取って発表大会に近い形とし、コロナ禍でも活気ある活動となっています。
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(まとめ 日科技連出版社 戸羽節文)
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