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私たちもQCサークル活動(小集団改善活動)しています①

機関誌『クオリティ・クラブ』※2024年1月・2月号(No.42)に掲載された記事です。

機関誌『クオリティ・クラブ』 – 品質管理なら日本科学技術連盟 (juse.or.jp)

 

「褒める文化」の醸成から始まった三重県庁の小集団活動,MIE職員力アワード

三重県庁

「キッチンカーが津駅東口通りに初集合!!にぎわいの社会実験♪♪」「『よく分からんわ』とは言わせない!説明力向上・若手勉強会」―。令和4年度の「MIE職員力アワード」のグランプリ・職員セレクト賞と審査員特別賞に輝いた事例である。MIE職員力アワードは県職員が日々実践する改善・改革の取り組みを発表・表彰する。単なる表彰式ばかりでなく,三重県庁における小集団活動の呼称でもある。活動の旗振り役を務める総務部行財政改革推進課行財政改革班の皆さんに取り組みを始めた経緯や成果などを聞いた。

お話を伺った,三重県総務部 行財政改革推進課 行財政改革班 課長補佐兼班長 松村敏明さん(右),主事 宮本徹志さん(中),主事 河谷詩乃さん(左)

 

1.行政システム改革は職員の改革意識から始まる

―本題に入る前に,県職員から見た三重県の魅力を教えてください。
松村

一概には言えませんが,三重県のイメージを浮かべにくいという方は多いようです。しかし,固有名詞を並べると「それ知っている」となると思います。伊勢神宮,熊野古道,海女(あま)と真珠,伊賀忍者,松阪牛,伊勢えび,鈴鹿サーキットなどです。意外と「全国区」が多いのではないかと自負しています。 三重県は南北に長い地形なので,北から南に辿っていくと,今挙げたゆかりの場所が点在していることが分かります。大阪と名古屋をつなぐ鉄道や高速道路などを擁する交通の要衝でもあります。リニア中央新幹線が開通すれば新たな人の流れも生まれるでしょう。
こうした三重県の多くの魅力をしっかりと伝えていくため,令和5年度から政策企画部に「プロモーション推進監」という役職を設けました。これまで,異なる部局が個別に行っていた対外的なPR活動を効果的に連携させて相乗効果を生み出すなど,全庁を挙げて戦略的なプロモーションに取り組んでいます。

―三重県庁が進めている小集団活動「MIE職員力アワード」とはどのような取り組みなのですか。
宮本

端的に言うと,県職員が日々実践している改善・改革の取り組みを表彰・発表するものです。改善・改革という言葉から分かるように,一般的にはQCサークル活動と称される取り組みですが,そのようには呼んでいません。その名の通り「三重県」の「職員の力」(取り組みの成果)を称える「賞」であると同時に活動の呼称でもあります。
この呼称での導入は平成24年ですが,基になったのは平成11年に立ち上げた「率先実行大賞」。つまり,前身の活動をリニューアルしたわけです。率先実行大賞の狙いは,県庁における行政システム改革の推進に顕著な貢献をした取り組みを表彰することでした。
この仕組みを取り入れたのは「職員を褒める文化」の醸成が必要ではないかということが論議されたからです。行政システム改革を進めるためには,組織の見直しばかりでなく,組織を構成する職員の改革意識も高めていかねばならないという考え方です。
アワードの対象は職員個人ではなく,職員グループです。職員が所属する「課」ではなく,部局の垣根を越えたワーキンググループの形で活動しているグループもあります。

 

2.応募案件は5つの視点を4段階で加点評価

―現在の活動状況を教えてください。

宮本

令和4年度の年間スケジュールで言うと,11月から翌年1月初旬にかけてMIE職員力アワードの募集を行います。募集部門は「協創推進」「デジタル活用」「ライフ・ワーク・マネジメント」「サービス向上」「職員力向上」「自由テーマ」の6部門。応募案件は各部局で選定され,2月初旬から中旬にかけて,審査員による審査が行われた後,部門賞と奨励賞が決まります。審査には新規採用職員,一部の所属長,公募職員などが当たります。審査は着眼点,成果,現場重視,チームワーク,取り組み姿勢の5つの視点を4段階で加点評価します。
2月下旬から3月上旬にかけて全職員(任意)による投票を行います。3月中旬の発表会では6つの部門賞の中から,知事・副知事の審査によりグランプリを決定します。部門賞のうち,事前の職員投票で最も共感された案件は「職員セレクト賞」として表彰されます。

―最近の応募内容に何か傾向はありますか。

宮本

部門別では「デジタル活用」への応募が増えています。やはり,デジタルツールの活用が進んでいることを反映しているのだと思います。令和5年度からは全庁的にもDX推進基盤の一環としてビジネスチャットツールやクラウドサービスを導入したり,活用を働きかけたりしているので,まさに時流を反映していると思います。

―運営体制はどのようになっていますか。

宮本

当課が運営事務局を務め,各部局から募った新規採用職員有志でつくる実行委員会が発表会の企画・運営を行っています。1年目の職員に委ねるのは,県庁の業務に触れることができるだけでなく,チーム力も学べるからです。実践的な人材育成の機会としても有効です。本来の職務をしながらなので大変だと思いますが,例えば,令和5年度は18人が手を挙げてくれました。同席している河谷も令和5年度の運営に手を挙げた一人です。また,応募取組の選定作業などは,各部局に置かれている「行財政改革担当者」の助けも借りて進めています。

―運営にはどのような心構えで臨みますか。

河谷

昨年の様子が分からないので正直,不安ではあります。半面,これまで同期の職員と部局を横断して一緒に活動する機会がなかったので,実際の仕事が楽しみです。ただ,実行委員でありながら,自分の業務をどう改善すれば良いのか分からない面もあります。ですから,アワードに選ばれるさまざまな事例に触れることで,工夫の仕方を学んだり,業務改善につながるアイデアを出せるようになったりできればいいなと思っています。

 

3.表彰式で終わらせず,改善を続ける気持ちで

―アワードの開始から数えて12年目となる活動を振り返ると,どのような手応えを感じますか。
宮本

すでにお話ししたように,この活動はもともと,日々の業務において改善を進める取り組みを褒めることで,改革意識を醸成していくことを目的に始まりました。とはいえ,当初は推進する側も参加する側も戸惑いがあったと思います。ただ,取り組みを根付かせるための働きかけは継続的に進めていく必要があります。そこで,例えば,2年目の職員には階層別研修の一環として半日をかけて業務改善の知識や経験を身に付けられるような研修を実施するなど,様々な場面で業務改善を学ぶ機会を設けています。過去に広報関係の所属ではSNSによる周知の方法を変えたらアクセス数が増えたという具体的な成果が出た取り組みがあります。肝心なのはそういう取り組みを今後どう役立てるか,さらなる改善にどうつなげるかといったことだと思います。そういう取り組みを当該所属だけでなく,全庁的に共有し,活用できる仕組みづくりをさらに進めることができれば,より広がりのある改善活動につながるはずです。

―現在の活動に対する評価と今後の活動に寄せる期待をお聞かせください。
宮本

この活動は人材育成を進めていく上で非常に効果があると見ています。入庁1年目で知事が出席するイベントを企画する機会はそうそうあるものではありません。それだけでも,大きな成果をもたらしていると思います。改善・改革の風土が根付いてきた結果,各部局からの応募も一定の割合で集まっており,各職場に定着してきていると感じます。ただし,数字的には部局や所
属による偏りは依然として見受けられるので,全庁的な取り組みとしていくことは推進役である我々の課題でもあります。

松村

今後に向けては,応募して,発表して,表彰して終わりではなく,継続させていくこと,これまでに蓄積されたデータをうまく活用していくことが大切だと思います。

(聞き手:ジャーナリスト 伊藤公一)

 

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