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私たちもQCサークル活動(小集団改善活動)しています③

機関誌『クオリティ・クラブ』※2024年5月・6月号(No.44)に掲載された記事です。

機関誌『クオリティ・クラブ』 – 品質管理なら日本科学技術連盟 (juse.or.jp)

 

ココロとカラダのバランスを気遣う「ヘルシストスーパー」の実現に役立てる

株式会社フレスタホールディングス

広島,岡山,山口の各県に合わせて64店舗を展開するスーパーマーケット,フレスタを中心に,生産加工部門や関連サービスなどの事業会社を擁するフレスタホールディングス(広島市,宗兼邦生社長)。ISO9001の認証取得に伴い,2009年に小集団活動であるQMS活動を始めた。10年の節目となる2019年にはこれまでの活動を抜本的に見直す一方,QMS推進チームを設立。小売業というビジネスの特質を踏まえ,自社ばかりでなく,同業他社との連携にも力を入れている。活動の推進役を務める事務局の深川貫太郎さんに聞いた。

お話を伺った,株式会社フレスタホールディングス 経営品質保証室 QMS推進チーム 深川貫太郎さん

 

1.「フレスタのある街は,みんなが健康になる」

―同業他社には真似のできない,貴社の事業における強みはなんですか。

社名のフレスタは「フレッシュ,フレンドリー,フェスタ,レスト」の4つの単語に思いを込めて,造った造語です。企業理念の「お客様の笑顔を原点」にと合わせ,創業の精神である「正直な商売」「進取の気性」を心に日々実践をしております。 当社の中核事業は食品スーパーですから「食」を基軸に,お客様の暮らしに役立つ商品やサービスを提供し,豊かで健康な食生活を実現するのが目標。ひいては持続可能な社会の実現を目指しています。そのために行うさまざまな取り組みが強みになっていると考えます。                                                                                     例えば,店頭における販売ばかりでなく,製造小売りの事業会社を通じて生鮮品の生産・加工・卸や総菜の製造・加工なども手掛けています。

 

―確か,貴社のキャッチフレーズは「ココロ,カラダに,スマイル。」でしたね。

これからの時代はカラダだけでなく,ココロの健康も重要になってくるとの思いを込めました。2014年には,この考え方をさらに発展させて「ヘルシストスーパー」(最上級の健康提案企業)への歩みをスタートさせました。世界で最も早く高齢化が進む日本だからこそ,お客様の生活に寄り添い,健康寿命を本気で考える店になりたいと考えたからです。 それは,当社のような地域密着のスーパーマーケットに課せられた使命です。目指すのは「地域に根ざしたコミュニティ」であり「フレスタのある街は,みんなが健康になる」と言っていただける未来の実現です。

 

2.活動開始10年目で踏み切ったリスタート

―QMS活動はどのような経緯で始められたのですか。

一言で言えば,企業理念を実現するためです。当社のQMS活動の理念は「人間の能力を発揮し,無限の可能性を引き出す」「人間性を尊重して,生きがいのある明るい職場をつくる」「企業の体質改善・発展に寄与する」という3つの理念を掲げています。これらを実現するための手立てとして,導入を決めました。たまたま,中長期の組織マネジメントをどうするかを考え始めていたころで,ISO9001の認証取得の時期とも重なっているので始まりは2009年です。

 

―QMS活動は社内でどのように位置づけられていますか。

定義的なことを申し上げると,QMS活動は,第一線で働く人々が継続的に商品・サービス・仕事などの質の管理。改善を行う小チームです。各チームの運営は自主的に行い,QMSの考え方や手法を活用して創造性を発揮し,自己啓発・相互啓発を図ることに重きを置いています。そのうえで,チームメンバーの能力向上や自己実現,明るく活力に満ちた生きがいのある職場づくり,お客様満足度向上や社会貢献を目指しています。
社会や地域への貢献という意味では,すでに申し上げた「ヘルシストスーパー」の実現に活動の成果がつながるのではないかとみています。

 

―活動を始めて10年目の2019年にリスタートされた狙いは。

端的に言えば,形骸化が露(あら)わになってきたからです。実際の活動よりもパフォーマンスのほうが目立つようになってきた。マニュアルや記録が一向に変わらないのは改善が進んでいないからではないのか,という素朴な疑問です。立ち上げ当初からQMS活動に携わり,現在はフレスタの社長を務める谷本満もそのことにいち早く気づいて,打つ手を考えていたところでした。
要するに,本来正しく回るべきPDCAサイクルが必ずしもきちんと回っていない。そこで,より現場に寄り添う形で見直すことにしました。併せて,事務局も立ち上げて推進体制を整えました。現場の課題に対して原因とか要因とかをきちんと分析すれば現場が良くなる。その効果は商品やサービスにも及ぶのでお客様のためになる。最終的に,得られた収益は従業員に帰ってくる,というわけです。

 

―2023年度に,活動のサイクルをこれまでの四半期から半期に改めた理由は。

QMS活動を全社の改善活動につなげるのが大きな狙いです。2019年の新体制で取り入れた四半期サイクルだとどうしても8月,12月の繁忙期がかかります。半期サイクルであれば,それを避けられるだけでなく,QMS活動に集中的に取り組むことができます。
サイクル変更で緩やかになった時間を利用すれば,優秀活動の水平展開で成果の共有ができます。考える時間が増えれば,課題の分析や改善がしっかりできる。そんな風に考え,見直すことにしました。

 

―事務局の仕事に携わる中で,どんなことに留意されましたか。

スーパーマーケットは明文化が立ち後れている業界だと思います。製造業などに比べると,まだまだ口頭や,OJTの比率が高い。そこで,リスタートにあたっては事務局が先頭に立ってガイドラインを作って活動の標準化を進めました。持続可能な活動をしていくためです。
例えば,なんらかの事情で私が事務局を離れた時,AさんとBさんの言うことがばらばらだと活動全体をうまく進めることができず,混乱をきたします。そこで,日科技連さんのQCサークルの本を参考にしたり,私自身がQCサークル指導士の資格を取ったりして支障のないようにしました。こういう取り組みはいわば,事務局としての「一丁目一番地」だと考えます。

 

3.軸をずらさなければ課せられた役割は担える

―同業他社の取り組みと比べて,QMS活動にはどのような特徴があるとお考えですか。

第一に「お客様に狙いを定めた企業理念の実現」という目標にブレがないことです。第二にグループ企業も追随しグループ全体に波及していることです。第三に活動の基本は『QMS活動ガイド』に記載し,マニュアル化していることです。事務局はこれを元に社内資格である推進者や管理者の研修に活用しています。改善活動自体が一時金の評価に反映していることも,他社にはあまり例がないのでは。

 

―これまでの取り組みで見えてきた課題と対策についてお聞かせください。

職場やチームによって,仕事におけるPDCAと,改善活動におけるPDCAが一緒にできていない人たちがいることです。TQMやQCは仕事の中で進めることだということが理解されない面もあります。課題を解決させようとしても,解決できないとマンネリに陥ります。そこを頑張って,完結させたという達成感にまでつなぎ切れていないのが事務局の課題だと考えます。
では,どうするか。簡単なことですが,事務局が現場に足を運び,皆さんとコミュニケーションを図りながら理解を得ることです。やはり,現場が第一ですから,巡回のための時間は惜しんではいけないとも思います。

 

―現在の活動に対する評価や今後の活動に寄せる期待をお聞かせください。

最近よく耳にする「人的基本経営」の本質は現在取り組んでいるQMS活動やTQM活動そのものだと考えています。活動を通じて人を育て,職場を改善し,商品やサービスを良くすれば,お客様満足度は高まるはずです。そのためのビジョンがあり,目標があり,PDCAがあり,モチベーションがある。まさに商売の本質です。
事務局として,この軸を常に意識し,なおかつずらさず,運営を進めていきたいと考えています。会社としても,その軸をずらさずに進めば,初めにお話しした「地域に根差したコミュニティ」としての役割をきちんと担えると確信しています。

(聞き手:ジャーナリスト 伊藤公一)

 

■株式会社フレスタホールディングス

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